2016.11.11
医療メディエーター
医療が高度化・専門化・複雑化し、医師等の医療スタッフの業務量は飛躍的に高まっています。
一方、患者さんの医療への『期待値』は上がり、現実とのギャップを感じるケースも増えています。
例えば、抗がん剤の副作用の危険性を、医師が5%と説明したとします。医師は5%もの高い危険性を説明したつもりでも、患者さんは5%の降水確率で傘を用意しないように5%しかなく「安全」と受け取る可能性があります。実際に5%が起きてしまった時に「危険だとは聞いてない」となり、医師がどのように説明を重ねても、患者さんは「誠意がない」「難しい言葉でごまかそうとしている」と対立する事例も報告されています。
医療メディエーターは、このような患者さんと医療関係者のギャップを埋める役割を担います。
患者さんの代弁者ではなく、医師の代弁者でもない。紛争の抑止、解決も目指さない。患者さんのニーズに誠実に対応し、その声に耳を傾けるとともに、きちんと気持ちを受け止め、医療者と対話の場を設定する黒子のような役割です。
表面では医師と患者さんがぶつかっていても、患者さんが心の奥に抱える「辛さを分かってほしい」という思いに双方が辿り着き、それを共感することによって、関係の修復に繋げていきます。
当院では、昨年度から、病院事業局の研修会を活用するなどして、この医療メディエーターの育成に取り組んでおり、現在18人のメディエーターが在籍しております。
このような取組みにより、対話文化を醸成させ、患者さんと医療者が十分に対話を促進することで、医療の安全や質の向上を図ってまいります。
【参考】
平成28年度山形県議会 閉会中常任委員会 質疑(平成28年11月9日)
(山形新聞:平成28年11月10日)